竹の花
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公開 2026年10月20日 更新 2026年10月20日
この記事の結論
- 竹の多くは、何十年に一度だけ花を咲かせ、そのあと枯れる性質を持っています(森林総合研究所)。
- ハチクとマダケは120年周期といわれ、ハチクは1908年前後に咲いた記録があります。2010年代から、各地でハチクの開花が報告されています。
- モウソウチクは、種から育てた竹が多くの試験地で発芽から67年目に咲きました。
- 咲いたあと、ハチクの竹林は地上の竹がほぼすべて枯れ、広島大学の調査では3年たっても再生は見られませんでした。
- 枯れた竹は倒れる危険があるので早めに伐ります。竹林をやめたいなら、竹が弱っている開花後が片付けやすい時期です。
竹の花はどんな花か
竹の花は、竹の種類によって何十年に一度しか咲かない、小さくて地味な花です。
竹はイネ科の植物です(農林水産省 aff)。花は枝に穂のようにつき、京都大学の記録では、黄色いおしべが穂から垂れ下がる様子が観察されています(渡辺ほか 1982)。森林総合研究所の研究者は、竹の花を「小さくて地味な花」と書いています。
竹の仲間(タケ類・ササ類)の多くは、一生に一度だけ、広い範囲でいっせいに花を咲かせ、そのあと枯れます。これを「一回繁殖性」と呼びます。開花の周期は数十年から百数十年に及び、いっせいに咲いた翌年に少しだけ咲く「咲き遅れ」も知られています(森林総合研究所「タケササ類の一斉開花の見過ごされてきた意味」)。
竹の種類ごとの開花の周期
開花の周期は種類で違い、ハチク・マダケは120年、モウソウチクは67年という記録があります。
| 種類 | 開花の周期 | 主な記録 | 種(たね)ができるか |
|---|---|---|---|
| ハチク | 120年周期といわれる | 1908年前後に開花。2017〜2020年に全国20地点で一斉開花を調査 | 種はできなかったという報告が続いている |
| マダケ | 120年周期といわれる | 1950〜1960年ごろ全国的に開花(農林水産省 aff)。1967年以降、開花による枯死で竹材の供給が激減(林野庁) | できない(農林水産省 aff) |
| モウソウチク | 種から育てた竹が多くの試験地で67年目に開花 | 1912年に採った種の竹が1979年に京都と横浜で同時に開花 | できる。京都の記録では発芽率40〜80% |
| クロチク | ハチクと同じ周期をたどると推測されている | 2021年に鳥取県林業試験場の花壇で一斉開花 | ごく少数、発芽する種ができた |
ハチクの周期120年は、古い文書の記録から推定されたものです。日本では主に1908年に咲き、1903〜1912年にも咲いた記録があります(Yamada ほか 2023)。120年周期なら全国的な開花のピークは2028年ごろといわれてきましたが、竹林ごとに多少ずれがあり、10年ほど前から開花が始まっています(農林水産省 aff)。森林総合研究所は、2017年から2020年にかけて全国でおよそ120年ぶりに見られたハチク20地点、スズタケ10地点の一斉開花地を調べています。
モウソウチクは、1912年に横浜で咲いた竹の種から育てた株が、1979年に京都大学の試験地と横浜で同時に咲きました。間は67年です(渡辺ほか 1982)。森林総合研究所の研究報告によると、種から育てたモウソウチクの試験は全国11か所で行われ、第一世代の多くは発芽から主に67年目に咲きました。第二世代では、咲くまでの年数がずっと短くなった株も見つかっています。農林水産省の aff は、モウソウチクは日本に入ってから全国的に咲いた記録はなく、小さな株で咲いた例がいくつかあると書いています。
クロチクはハチクの変種とされ、ハチクと同じ周期で咲くと推測されています(樹木医学研究 2023)。
咲いたあと竹林はどうなるか
ハチクの竹林は、咲いたあと地上の竹がほとんど枯れ、種からも地下茎からもなかなか再生しません。
広島大学のグループは、2020年に東広島市で咲いたハチクの竹林(8m×32m)を3年間調べました(Yamada ほか 2023)。
- 3年間で、調査区の竹334本のうち83%が花を咲かせた。
- 種は1つも見つからず、芽生えもなかった。
- 咲いたあとに出た新しい竹19本は、翌年すべて咲いて枯れた。
- 背の低い弱い竹(20〜240cm)が415本出たが、1年後まで生き残ったのは75本だった。
- 2022年10月までに、花が咲いた竹も咲かなかった竹も、調査区の竹はすべて枯れた。
竹が枯れて葉が落ちると、地面に光が届くようになります。光が入った所では、1年後にチヂミザサ、ヤブジラミ、カラムシなどの草が1m以上に伸び、地面の80%以上をおおいました。研究者は、咲いたあとの竹林は草地に変わり、再生には少なくとも数年、長ければ10年以上かかるかもしれないと書いています。
一方、農林水産省の aff は、ハチクやマダケは種ができず、地上の竹が枯れたあとも地下茎からタケノコが出て竹林が再生すると説明しています。1908年前後に咲いたハチクも、地下茎から再生しました。モウソウチクは、咲いたあと地下茎まで枯れるものの、種ができて芽を出します。
森林総合研究所は、京都大学にある、竹やササの種類を集めて植えた園2か所で7年間、8種の開花と再生を観察しました。再生のしかたは、①種からの芽生え、②生き残った地下茎から出る背の低い竹、③咲かなかった竹から出るタケノコ、の3つがありました(森林総合研究所「開花した後の管理方法」)。
「竹の花が咲くと不吉」は言い伝え
竹の花が咲くと不吉なことが起きる、というのは言い伝えです。
この記事で確かめた研究機関や大学の資料には、竹の花と不吉なことを結びつける記述はありません。めったに咲かず、咲くと竹林がまとめて枯れるため、昔から人の目を引いてきた現象です。森林総合研究所の研究者も、竹やササが数十キロをこえていっせいに咲く光景は、昔から多くの人を引きつけ、不思議がられてきたと書いています。
実際の影響としては、マダケが1950〜1960年ごろに全国的に咲いて枯れたとき、竹材が足りなくなりました(農林水産省 aff)。林野庁の報告書は、1967年以降、マダケの一斉開花による枯死で竹材の供給が激減し、輸入の増加やプラスチック製品の普及につながったと書いています。
花が咲いた竹林の後の管理
枯れた竹は倒れる危険があるので、早めに伐って片付けます。
森林総合研究所の冊子は、枯れた竹林は景観が悪くなるうえ、雪や風で倒れる危険があるので、枯れた竹は早めに伐る必要があると書いています。家や道路、となりの土地に倒れそうな竹から先に片付けます。
竹林をこのあとどうするかで、やることが変わります。
| どうしたいか | やること | 根拠 |
|---|---|---|
| 竹林をやめて、畑や庭、ほかの木の林にしたい | 枯れた竹を伐り、出てくる弱い竹も伐り続ける | 開花後は竹が弱っており、片付けにいちばんよい時期(Yamada ほか 2023) |
| 竹林を残したい | 生き残った竹や地下茎から出た竹を残して見守る | 再生のしかたは種類や系統で違う(森林総合研究所 2025) |
| とりあえず安全にしたい | 倒れそうな枯れた竹を先に伐る | 雪や風で倒れる危険(森林総合研究所 2018) |
竹林をやめたい場合、広島大学の研究者は、竹は地下茎が密に張っていて取り除くのに時間と手間がかかるため、竹が弱っている開花後がいちばんよい時期だと書いています。伐ったあとも、地下茎から背の低い竹が出てくることがあるので、見つけたら伐ります。伐り続けて根を弱らせる方法は竹を枯らす方法、年間の流れは竹の駆除の進め方にまとめています。
竹林を残したい場合、研究者は、肥料をやることや、咲いていない竹林から竹を植え替えることが、再生を早める方法になりうると書いています(試した結果ではなく、検討としての記述です)。
枯れた竹を伐る時期や道具は竹を伐る時期と、自分で伐る手順・道具、伐った竹の処分は伐った竹の処分方法を見てください。
業者に頼む目安
枯れた竹が広い範囲にある、斜面や家の近くにある場合は、業者に頼むほうが安全です。
枯れた竹は、生きた竹より軽くて作業は進めやすい一方、倒れかかっている竹や、ほかの竹に引っかかった竹を伐るのは危険です。次のような場合は、見積もりを取って比べてください。
- 竹林が広く、枯れた竹が何百本もある
- 斜面や崖の上、家・塀・道路・電線のすぐ近く
- 枯れた竹がほかの竹や木に引っかかっている
- 伐った竹の運び出しと処分まで頼みたい
費用の考え方は竹の伐採を業者に頼んだときの費用、業者の選び方は竹の伐採業者の選び方にまとめています。竹林の整備に補助を出している市町村もあるので、竹林整備の補助金・貸出もあわせて見てください。
よくある質問
- 竹の花は何年に一度咲きますか?
- 種類で違います。ハチクとマダケは120年周期といわれ、ハチクは1908年前後に咲いた記録があります。モウソウチクは、種から育てた竹が多くの試験地で発芽から67年目に咲いた記録があります。
- 竹の花が咲くと竹は枯れますか?
- 多くの竹は一生に一度だけ花を咲かせて枯れる性質があります。ハチクやマダケは地上の竹が枯れても地下茎からまた竹が出てくるとされますが、広島大学の調査では3年たっても再生は見られませんでした。
- 竹の花が咲くと不吉というのは本当ですか?
- 言い伝えです。この記事で確かめた研究資料には、竹の花と不吉なことを結びつける記述はありません。
- 花が咲いて枯れた竹はどうすればいいですか?
- 枯れた竹は雪や風で倒れる危険があるので、早めに伐ります。竹林をやめてほかの使い方をしたい場合は、竹が弱っている開花後が片付けやすい時期だと研究者は書いています。
出典
- タケササ類の一斉開花の見過ごされてきた意味(森林総合研究所・秋田県立大学、2022年10月17日)
- 開花した後の管理方法(森林総合研究所 研究紹介、2025年10月16日)
- 「三百年計画、竹の開花年限に関する実験」の過去から現在まで(森林総合研究所研究報告 第23巻4号、2024年)
- 身近で不思議なタケの生態に迫る!(農林水産省 aff 2021年3月号)
- Does monocarpic Phyllostachys nigra var. henonis regenerate after flowering in Japan?(広島大学 Yamada ほか、PLOS ONE、2023年)
- モウソウチクの開花,結実,発芽および開花周期性(京都大学 渡辺ほか、日本林学会誌 64巻3号、1982年)
- 2021年に鳥取市河原町で一斉開花したクロチクの観察記録(樹木医学研究 27巻2号、2023年)
- 「竹の利活用推進に向けて」報告書 平成30年10月(林野庁)
- 広がる竹林をどうしよう?という時に 放置竹林の把握と効率的な駆除技術(森林総合研究所 関西支所、2018年)
数字は上の資料の原文で確かめています(調べ方)。