竹の1m切り

公開 2026年10月20日 更新 2026年10月20日

この記事の結論

  • 「1m切り」は、竹を地上約1mの高さで伐る方法です。冬に1mで伐ると竹を枯らせる、として関心を持つ人が多い方法です。
  • 森林総合研究所・山形県・佐賀県の試験では、1m切りでも地際で伐っても、新しい竹の出方に大きな差はありませんでした。
  • 佐賀県の5年間の試験では、まわり10m以内に竹林がなければ、伐り方にかかわらず3〜4年ほどで竹がなくなりました。決め手は伐る高さより、まわりの竹林と、そのあとの下刈りでした。
  • 佐賀県は、夏に伐ると新しい竹が小さくなったことから、夏に地下茎へ養分がたまる前に伐ることが必要と考えられる、としています。
  • 1m切りは運び出しのじゃまになることがあります。ひざをつかずに伐れる、という利点もあります。

1m切りとは

1m切りは、竹を地面から約1mの高さで伐り、切り株を残す方法です。

佐賀県林業試験場の報告書は、効率よく竹を伐る方法として「竹稈約1mの高さでの伐竹」が有効だという情報があったが、くわしい検証はされていなかった、と書いています。その情報元として、農業雑誌「現代農業」で冬の高伐りが有効とされていたことをあげています(佐賀県林業試験場 業務報告書 平成26年度)。

情報元の考え方として、報告書は次の説明を紹介しています。

  • 竹が休んでいる冬に伐ると、切られたことが竹全体に伝わらない
  • 春に根が水を吸い上げ、切り口から竹水が出る
  • 竹水が多く出れば、その分、新しい竹を作るための力が減る

佐賀県は、この考え方が本当かを確かめるため、平成26年度から30年度まで試験をしました。山形県森林研究研修センターも、竹を枯らす方法として冬に1mの高さで伐る「1m伐採」に興味を持つ人が多いとして、試験をしています(山形県「森林侵入竹対応マニュアル」)。山形県は、現代農業2019年4月号でも、効果が見られた例と見られなかった例の両方が紹介されている、と書いています。

試験の結果は「地際で伐るのと大きな差なし」

三つの公的機関が試した結果は、どれも地際で伐った場合と大きな差がない、というものでした。

実施した機関 伐った時期 結果
森林総合研究所 記載なし 1mの高さで伐っても、地際で伐っても、切り株は枯れたが、まわりから新しい竹が出た
山形県森林研究研修センター 12月 新しい竹の出方は、ふつうの伐採と大きな差はなかった。翌春に竹が出た写真が載っている
佐賀県林業試験場 12月・1月・2月 武雄・白石・三瀬の試験地とも、1m切りと地際で伐った場合で、新しい竹の数に大きな差はなかった

佐賀県が伐った翌年の4月〜7月下旬に、5m×5mの区域で新しい竹を数えた結果が次の表です(佐賀県林業試験場 業務報告書 平成27年度)。どれもモウソウチクの竹林です。

試験地 地際で伐った(12月) 1m切り 12月 1m切り 1月 1m切り 2月
武雄 5 9 3 21
白石 83 64 73 84

武雄の2月に伐った区画で多かったのは、もともと立っていた竹の密度が高かったためと考えられる、と報告書は書いています。三瀬の試験地(1月に伐採)でも、地際で伐った区画が32本、1m切りの区画が36本で、同じような結果でした。

切り株から出る竹水の量も測っています。どの区画も6〜7月に多く出ました。武雄では2月に伐った竹で多く、白石では伐った月による大きな差はありませんでした。

竹がなくなるまでの年数

佐賀県の試験では、竹がなくなるまでの年数は、伐る高さより、まわりに竹林があるかどうかで変わりました。

佐賀県は、伐ったあとの区画を最長4年間調べ、次のようにまとめています(佐賀県林業試験場 業務報告書 平成30年度)。

試験地・伐り方 伐ってからの年数 まわり10m以内の竹林 新しい竹
三瀬・1m切り 4年 なし 出なかった
三瀬・地際 4年 なし 出なかった
白石・1m切り 4年 あり 出た(根元の直径10cm以上の太い竹)
白石・地際 4年 あり まわりから竹が入ってきた(細い竹)
白石・1m切り 3年 なし 出なかった
白石・地際 3年 なし 出なかった
三瀬・1m切り 3年 あり 細い竹が出た
三瀬・地際 3年 あり 細い竹が出た

報告書のまとめは次のとおりです。

  • まわりに竹林がなければ、伐り方や薬の使用の有無にかかわらず、整備後3〜4年ほどで竹の除去が終わった
  • まわりに竹林がない場合、伐ったあとに出る竹は細くなっていくので、続けて整備すれば除去できると思われる
  • 4年後に竹が出なかった三瀬の区画では、毎年6〜8月に下刈りをしていて、まわりから竹も入ってこなかった。伐った場所のまわりの状況や下刈りの時期も、大切な要素の一つと思われる
  • 白石の1m切りの区画で4年後も区画全体に竹が出たのは、伐採と下刈りを3月にしたため、地下茎に養分がたまった可能性がある

竹がなくなるまで、伐ったあとに出てくる竹を刈り続ける作業が必要です。森林総合研究所の冊子にも、年2回の刈り払いを7年続けた現場でほぼ竹がなくなった例が載っています(竹を枯らす方法)。

伐る時期は冬より夏

佐賀県の試験では、冬(12月〜2月)のどの月に伐っても差がなく、夏に伐ったときに新しい竹が小さくなりました。

佐賀県は、それまでの試験地をすべて冬に伐っていたため、平成29年7月中旬に竹林を伐り、翌年の竹を調べました。翌年4月中旬には多くの竹が出ましたが、その多くは高さ5m以下、根元の直径10cm以下でした。伐る前の竹林の高さは約12mだったので、夏に伐った効果はあったと思われる、としています。

報告書は、新しい竹を小さくするには、夏に竹が光合成をして地下茎に養分をためる前に整備することが必要と思われる、とまとめています。香川県の竹林整備の指針も、竹を使わない場合は夏に全部伐り、8月上旬に残りを地際から伐り、1か月後に出た竹をまた伐る手順を紹介しています(香川県「竹林整備のための施業指針」)。

「冬に1mで伐れば枯れる」という言い方は、ここで見た公的な試験では確かめられませんでした。竹を減らしたいなら、伐る高さより、伐る時期と、そのあと出てくる竹を伐り続けることのほうが大切です。

伐る時期と道具は竹を伐る時期と、自分で伐る手順・道具にまとめています。

1m切りの手間

1m切りは、ひざをつかずに伐れる一方で、運び出しや下刈りのじゃまになることがあります。

森林総合研究所は、1m切りの利点として、ひざをつかずに伐れることをあげています。そのうえで、残した切り株が、伐ったあとの刈り払いのじゃまにならないかを考えてから行うよう書いています。山形県も、1mの切り株が残るので、作業のじゃまにならないか、景色の点で問題ないかも考えるよう勧めています。

佐賀県は、作業の手間を地際で伐った場合と比べています(佐賀県林業試験場 業務報告書 平成26年度)。

  • 伐った竹や枝葉が1mの切り株に引っかかり、1人で引き出すのが難しかった。地際で伐った場合は1人でも運べた
  • チェーンソーで倒すとき、1mの高さで受け口を作り、ロープで引っ張る必要があった
  • 置き場まで遠いほど、1mの切り株が引き出しのじゃまになった
  • 竹1本あたりの作業時間は、12月に伐った区画では地際と大きな差はなかったが、1月・2月に伐った区画では1.5倍以上かかった(伐ったあとの運搬・引き出しの手間が理由と考えられている)

庭や空き家の竹で、伐ったあと草刈り機で刈り払いを続けるつもりなら、1mの切り株は残さないほうが作業しやすい場合があります。

1m切りと除草剤を組み合わせた試験

佐賀県は、1m切りに除草剤を組み合わせた区画も調べています。

まわりに竹林がない白石の試験地では、1m切りのあと除草剤を注入した区画、除草剤をまいた区画、1m切りだけの区画、地際で伐っただけの区画のどれも、3年後に新しい竹はほとんど出ませんでした。除草剤をまいた区画で、根元の直径2cmほどの細い竹が2本出ただけでした。

まわりに竹林がある白石の別の区画では、除草剤をまいた区画(1m切り・地際とも)で、2年後に新しい竹は出ませんでした。ただし、まわりの竹林から、伐ったあとの場所へ竹が入ってきていました。報告書は、薬を使うと整備の期間を短くできると期待されるが、薬をまいても完全になくなるとは言い切れないので、使ったあとも管理が必要と考える、としています。

1m伐採をした場所から出てくる細い竹は、出てくるたびに伐り続けるのが基本です。除草剤を使う場合、竹類に登録されている使い方は竹稈注入だけなので、細い竹に使えるかは使う前にメーカーの窓口か病害虫防除所で確かめてください(竹にラウンドアップは使えるか)。

除草剤を使うときは、竹類や笹に登録がある製品を、ラベルどおりに使います。登録の内容は竹に使える除草剤と竹にラウンドアップは使えるかにまとめています。

自分でやるか、業者に頼むか

数本から十数本の竹なら、夏に地際で伐り、出てくる竹を刈り続ける作業は自分でもできます。

佐賀県の平成26年度の武雄・白石の試験地は、高さ12〜16m、胸の高さの直径10〜20cmほどの竹で、チェーンソーで伐り、ロープで引き倒す作業もありました。太い竹が多い、斜面にある、家や電線に倒れるおそれがある場合は、業者に見積もりを取ると判断しやすくなります(竹の伐採を業者に頼んだときの費用)。

佐賀県の結果のとおり、まわりに竹林が残っていると、地下茎を通って竹が入ってきます。となりの竹林との境は、根止めも考えてください(竹の根の止め方・抜き方)。伐った竹を細かくする機械を貸し出している市町村もあります(竹粉砕機の貸出)。

よくある質問

竹の1m切りで竹は枯れますか?
伐った竹(切り株)は枯れますが、まわりから新しい竹が出ます。森林総合研究所、山形県、佐賀県の試験では、地際で伐った場合と新しい竹の出方に大きな差はありませんでした。
1m切りはいつやるのがよいですか?
1m切りは冬に伐るとよいと言われてきましたが、佐賀県の試験では12月・1月・2月のどれに伐っても、地際で伐った場合と大きな差はありませんでした。佐賀県は、夏に伐ると新しい竹が細く小さくなったことから、夏の光合成で地下茎に養分がたまる前に伐ることが必要と考えられる、とまとめています。
竹がなくなるまで何年かかりますか?
佐賀県の試験では、伐った場所のまわり10m以内に竹林がない場合、伐り方や薬の有無にかかわらず、3〜4年ほどで竹がなくなりました。まわりに竹林がある場合は、4年たっても新しい竹が出たり、まわりから竹が入ってきたりしました。
1m切りのよい点はありますか?
森林総合研究所は、ひざをつかずに伐れることを利点にあげています。一方、佐賀県の試験では、伐った竹が1mの切り株に引っかかって1人で引き出せないなど、運び出しの手間が増えました。

出典

数字は上の資料の原文で確かめています(調べ方)。

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