塩や灯油で竹を枯らしてはいけない理由

公開 2026年10月20日 更新 2026年10月20日

この記事の結論

  • 塩では竹は枯れません。森林総合研究所の試験では、切り株に食塩水を入れても地下茎はみずみずしいままで、塩をまいた竹林では下草だけが消えました。
  • 灯油は消防法の危険物(第二石油類)です。土にしみると、油のにおいや、井戸・水路の油膜の原因になるおそれがあります。
  • 塩も灯油も、竹を枯らす農薬として登録されていません。除草のために使うと、農薬取締法に触れるおそれがあります。
  • 余った灯油を地面に捨てるのは、廃棄物処理法の「みだりに捨ててはならない」に当たるおそれがあります。
  • 代わりに、竹類に登録のある除草剤の注入か、夏に伐って伐り続ける方法を選びます。

塩を入れても竹は枯れなかった

塩で竹を枯らせるかは、森林総合研究所が実際に試して、効果がなかったと報告しています。

森林総合研究所関西支所の冊子「放置竹林の把握と効率的な駆除技術」は、伐り続けるのが大変で、除草剤に抵抗がある人もいるため、ほかの方法を求める声がある、として次の試験をしています。

試したこと 竹の結果 まわりの結果
竹を伐ったあと、切り株に食塩の水溶液を入れた 翌年、地下茎は黄土色でみずみずしい状態 記載なし
竹を伐ったあと、切り株に生石灰の水溶液を入れた 翌年、地下茎は黄土色でみずみずしい状態 記載なし
立っている竹に、飽和食塩水(これ以上溶けない濃さの食塩水)を入れた 色が変わったり葉が落ちたりしなかった 記載なし
竹林に食塩をまいた 竹に変化なし シダなどの下草がほとんどなくなった(まいてから3か月後の写真)
竹林に消石灰をまいた 竹に変化なし 記載なし

冊子は、食塩や石灰は大量に使うと植物の生育に有害になる、と書いています。竹の地下茎は生き残り、竹以外の植物だけが消えたことになります。竹が残ったまま下草がなくなると、地面がむき出しになります。

塩をまくと困ること

塩をまくと、竹は残ったまま、まいた場所の草や木が育ちにくくなります。

森林総合研究所の試験では、塩をまいた竹林でシダなどの下草がほとんどなくなりました。庭や空き家の敷地でまけば、竹のまわりの草花や庭木も同じように傷むおそれがあります。

竹の地下茎は横に長く伸び、となりの土地とつながっていることもあります(竹の根の止め方・抜き方)。塩は竹を枯らさないので、地下茎はそのまま残り、竹はまた生えてきます。

塩は、竹を枯らす農薬として登録されていません。農林水産省と環境省が、登録なしで使える「特定農薬」として指定しているのは、エチレン、次亜塩素酸水(決められた作り方のものだけ)、重曹、食酢、地場の天敵だけです(農林水産省・環境省「特定農薬として指定された資材の留意事項について」)。塩も灯油も入っていません。

灯油を使ってはいけない理由

灯油は燃えやすい危険物で、土にしみると取りのぞくのが大変になるので、竹を枯らすために使ってはいけません。

火事の危険

消防法は、灯油を「第二石油類」という危険物に分けています。第二石油類は、1気圧で引火点が21度以上70度未満のものです(消防法 別表第一の備考)。火の気があれば燃え上がるおそれがあります。

竹やぶには、枯れた竹や落ち葉がたまっていることが多く、灯油をしみこませればそこに火が付くおそれがあります。また、竹類にも登録がある塩素酸塩の除草剤クロレートSの要覧には、ガソリン・灯油などの油類や、木・繊維などの燃えやすい物と混ぜると危険なので一緒に保管しないよう書かれています。除草剤を使う場所の近くに灯油を置かないようにしてください。

土や水を汚すおそれ

環境省の「油汚染対策ガイドライン」は、ガソリン・灯油・軽油・重油などの「鉱油類」をふくむ土が原因で、その土地や周りの土地を使う人に油のにおい(油臭)や、井戸・池・水路の水の油膜による生活環境上の支障が出ることを「油汚染問題」としています。灯油を土にしみこませると、こうした問題の原因になるおそれがあります。

ガイドラインは事業者向けですが、地面が油くさい、井戸水に油膜がある、といった場面を例にあげています。井戸がある家や、水路・田んぼが近い竹やぶでは、とくに使ってはいけません。

法律との関係

塩や灯油を竹を枯らすために使ったり、余った灯油を地面に捨てたりすると、法律に触れるおそれがあります。

法律 条文の内容 竹の除草との関係
農薬取締法 第2条 「農薬」は、農作物(樹木及び農林産物を含む)を害する草などの防除に用いる除草剤その他の薬剤 草木を枯らす目的で使う薬剤は、農薬に当たる場合がある
農薬取締法 第24条 登録の表示がある農薬と特定農薬以外の農薬を使ってはならない 塩・灯油は竹類の登録がなく、特定農薬でもない
廃棄物処理法 第2条 「廃棄物」には廃油がふくまれる 古くなった灯油・余った灯油は廃油に当たる
廃棄物処理法 第16条 何人も、みだりに廃棄物を捨ててはならない 余った灯油を竹やぶにまいて処分すること
廃棄物処理法 第25条 第16条に違反して廃棄物を捨てた者は、5年以下の拘禁刑か1,000万円以下の罰金(または両方) 同上

条文は、農薬取締法が2026年7月1日施行、廃棄物処理法が2026年9月16日施行、消防法が2025年6月1日施行の版で確認しました。自分の場合に法律に当たるかどうかは、状況によって変わります。迷うときは、農薬のことは都道府県の病害虫防除所や農薬の担当課、ごみのことは市町村の担当課に相談してください。となりの人との争いになった場合は、弁護士や法テラスに相談してください。

余った灯油は、地面や側溝に捨てず、買った店や市町村に処分の方法を聞いてください。

竹酢液はどうか

竹酢液も、竹を枯らす農薬としての登録はありません。

2026年10月20日に農林水産省の農薬登録情報で「竹類」に登録がある製品を調べると、グリホサート系の液剤と塩素酸塩系の粒剤だけでした(竹に使える除草剤)。竹酢液は特定農薬にも指定されていません。登録のない資材を、竹を枯らす目的で使うのはやめてください。

代わりの方法

竹を枯らしたいなら、登録のある除草剤をラベルどおりに使うか、薬を使わずに伐り続けるかのどちらかです。

方法 やり方 向いている場面 くわしい記事
除草剤の注入 竹類に登録がある除草剤を、竹に穴を開けて1本ずつ入れる。量は製品ごとに1本5〜20ml 竹の本数がそれほど多くなく、タケノコを採らない所 竹に使える除草剤、竹にラウンドアップは使えるか
伐り続ける 夏に伐り、出てきた竹を地際からくり返し伐る 薬を使いたくない、畑や井戸が近い 竹を枯らす方法
根止め 板やシートを埋めて、地下茎が入ってくるのを止める となりから竹が入ってくる 竹の根の止め方・抜き方

注入した竹から15m以内に出たタケノコは食べられません。これは除草剤のラベルに書かれた注意です。竹が多い、太い、斜面や家の近くにある場合は、業者に見積もりを取ると、費用と手間を比べやすくなります(竹の伐採を業者に頼んだときの費用)。費用の補助や、竹を砕く機械の貸出をしている市町村もあります(竹林整備の補助金・貸出)。

よくある質問

竹に塩を入れると枯れますか?
森林総合研究所の試験では枯れませんでした。伐った切り株に食塩水を入れても、翌年の地下茎はみずみずしいままでした。立っている竹に濃い食塩水を入れても、色が変わったり葉が落ちたりしませんでした。
竹林に塩をまくとどうなりますか?
森林総合研究所の試験では、竹は変わらず、シダなどの下草がほとんどなくなりました。竹は残り、まわりの植物だけが消えたことになります。
灯油を竹に入れて枯らしてもいいですか?
勧めません。灯油は竹を枯らす農薬として登録がなく、消防法では引火する危険物(第二石油類)です。土にしみると、環境省のガイドラインがいう油臭や油膜の問題につながるおそれがあります。
余った灯油を竹やぶに捨ててもいいですか?
いけません。廃棄物処理法は、何人もみだりに廃棄物を捨ててはならないと定め、廃棄物には廃油が含まれます。違反すると5年以下の拘禁刑や1,000万円以下の罰金の対象になります。余った灯油は、買った店や市町村に処分方法を聞いてください。
塩や灯油の代わりに何を使えばいいですか?
竹類に登録のある除草剤を、ラベルどおりに竹に注入する方法があります。薬を使わないなら、夏に伐り、出てくる竹を地際から伐り続けます。

出典

数字は上の資料の原文で確かめています(調べ方)。

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