伐った竹の割り方・乾かし方

公開 2026年10月20日 更新 2026年10月20日

この記事の結論

  • 竹材として使うなら、晩秋から初冬(11月前後)に伐ります。晩冬から春に伐った竹は虫がつきやすくなります。
  • 竹は繊維が縦にそろっているので、なたや竹割り包丁で縦に割れます。支柱を作るなら、六つ割り器で一度に6つに割る方法もあります。
  • 乾かし方は、天日で干す方法と、風通しのよい日陰に置く方法があります。伝統的工芸品では、作るものによって使い分けています。
  • 割るときは刃物で手や指を切りやすいので、手袋をして、2人以上で作業します。

使う竹はいつ伐る?

竹を材料として使うなら、晩秋から初冬に伐ります。

林野庁は、竹材として使うのは3〜5年生の竹が最良で、伐採の時期は、生長が止まる晩秋から初冬が適期としています(竹の性質、林野庁)。

静岡県の「竹林整備読本」は、竹があまり水を吸い上げていない11月前後が適期だとしています。この時期は竹の水分が50〜60%に減り、材質がしまっているため、カビや虫がつきにくいと書いています。

伝統的工芸品の産地でも、冬に伐る例が多くあります。

工芸品 竹を伐る時期と扱い
勝山竹細工(岡山県) 毎年11〜12月に1年分を伐り、風通しのよい日陰で保存する。悪い時期に伐ると虫害や品質の低下につながる
高山茶筌(奈良県) 冬に切り出した2〜3年生のハチクを、厳寒の時期にさらして貯蔵する

竹林をなくすために伐る場合は、時期の考え方が違います。くわしくは 竹を伐る時期と、自分で伐る手順・道具 を見てください。

虫がつきにくい時期と、くん煙

伐ったあとの竹に虫がつくのを防ぐには、伐る時期を選ぶことがいちばんです。

静岡県の読本によると、竹は晩冬から春にかけてデンプンなどの栄養が多くなり、この時期に伐った竹材に最も虫がつきやすくなります。被害が大きい虫と、伐る適期は次のとおりです。

虫 特徴 伐る適期
チビタケナガシンクイムシ 体長3mmほど。竹材だけを食べる 8〜9月と11月
タケトラカミキリ 木口や割れ目、傷口に卵を産む。1年で成虫になり、直径4〜5mmの穴をあけて出てくる 11〜12月中旬

読本は、竹材を煙でいぶす「くん煙処理」で、虫の食害を防げるとしています。ただし短い時間のくん煙では表面しかいぶされず、効果は一時的だと書いています。長い年月いろりやかまどの煙でいぶされた煤竹(すすたけ)には虫がつかないとしています。

虫に食われた竹材は焼却する必要がある、と読本は書いています。家庭では野焼きにならないよう、市町村のごみの出し方に従って処分してください(伐った竹の処分方法)。

竹の割り方

竹は、繊維の向きに沿って縦に割ります。林野庁は、竹材はすべての組織が軸の方向に平行に並んでいると説明しています。林野庁の報告書も、竹は「維管束に沿って割裂しやすい」としています(「竹の利活用推進に向けて」報告書、林野庁)。

割るときに使う道具をまとめました。

道具 使い方 資料
なた 竹を2つに割る「荒割り」、さらに細くする「小割り」に使う 勝山竹細工
竹割り包丁 繊維に沿って竹を2つに割り、さらに縦に割る「荒割り」をくり返す 別府竹細工
六つ割り器 竹を6つに割る道具。玉切りした竹を支柱にしたり、太い竹を細かくしたりするのに使う 神戸市・丹波篠山市
小刀 浅く切り込みを入れてから、繊維に沿って手で裂く(細かいひご作り) 高山茶筌・駿河竹千筋細工

別府竹細工の工程では、乾かした竹を必要な長さに切り、節の盛り上がりをなたで削ってから、竹割り包丁で2つに割ります。半分にした竹をさらに縦に割る「荒割り」をくり返し、ひごの元を作ります(別府竹細工、伝統的工芸品産業振興協会)。

丹波篠山市のマニュアルは、1m程度に玉切りした竹を六つ割り器で割れば、小さめの支柱になると紹介しています。神戸市のマニュアルは、モウソウチクなど太い竹を粉砕機に入れる前に、玉切りしてから六つ割り器やなたで細かくしておくよう書いています。

割るときのけがを防ぐ

竹を割るときは刃物を使うので、手や指の切り傷に気をつけます。

神戸市のマニュアルは、竹林伐採でよく起こるけがとして、竹の枝が手や顔に当たるすり傷と、のこぎりなどによる手や指の切り傷を挙げています。服装は、ヘルメット、保護メガネ、手袋、長袖・長ズボン、長靴か作業靴としています。手袋は、竹の枝などが突き抜けない素材のものを選ぶよう書いています。

勝山竹細工の職人は、荒割りに使うなたは「切れすぎないことが肝心」で、切れすぎるとけがのもとになると話しています(勝山竹細工、伝統的工芸品産業振興協会)。竹を割る作業は習得に2〜3年かかるとも紹介されています。

神戸市のマニュアルは、竹林での作業に慣れるまでは、必ず2人以上で作業するよう書いています。

乾かし方と油抜き

乾かし方は、天日で干す方法と、風通しのよい日陰に置く方法があります。伝統的工芸品の工程をくらべました。

工芸品 乾かし方
別府竹細工(大分県) 油抜きのあと天日にさらして乾かす。象牙色のつやが出たら乾燥は完了。これを「晒竹(さらしたけ)」という
江戸和竿(東京都) 竹の皮をむき、油を抜いて、天日で3か月ほど干す。数年寝かせて乾かした竹を使う。伝統的工芸品の要件では「乾燥は、自然乾燥によること」
勝山竹細工(岡山県) 伐った竹を風通しのよい日陰で保存する。晒しも皮はぎもしないマダケを使う
高山茶筌(奈良県) 冬に伐ったハチクを厳寒の時期にさらして貯蔵する

「油抜き」は、竹の表面の油分を取り除く作業です。伝統的工芸品では、次の2つのやり方が紹介されています。

  • 煮る方法:別府竹細工では、苛性(かせい)ソーダを入れた液で竹を煮て、しみ出た油分をふき取ります
  • 火であぶる方法:江戸和竿では、竹に火を入れ、にじみ出た油を布でふき取ります。別府竹細工でも、丸竹のまま使うものは火であぶって曲がりを直します

これらは工芸品を作るための工程です。家庭で薬品を使う場合は、製品の注意書きを必ず読んでください。

一方で、勝山竹細工のように、晒しも皮はぎもしないマダケを、風通しのよい日陰で保存して使う工芸品もあります。

割った竹・乾かした竹の使い道

割った竹は、支柱や垣根、炭の材料などに使えます。丹波篠山市のマニュアルは、太くて長い竹をビニールハウスの骨組みに使ったり、1m程度に玉切りして六つ割り器で割り、支柱にしたりする例を紹介しています。

炭にするなら、太い竹は割ってから焼きます。焼き方は 竹炭の作り方 にまとめました。竹を切る道具は 竹用のこぎりの選び方 を見てください。

よくある質問

竹材として使うなら、いつ伐ればいいですか?
林野庁は、竹材には3〜5年生の竹が最良で、伐採は晩秋から初冬が適期としています。静岡県の資料は、竹があまり水を吸い上げていない11月前後が適期で、カビや虫がつきにくいとしています。
竹はどうやって割りますか?
竹は繊維が縦にそろっているので、なたや竹割り包丁で縦に割れます。別府竹細工では竹割り包丁で2つに割り、さらに縦に割る『荒割り』をくり返します。支柱などに使うなら、六つ割り器で一度に6つに割る方法もあります。
伐った竹はどうやって乾かしますか?
伝統的工芸品の工程では、天日で干す方法と、風通しのよい日陰で保存する方法があります。別府竹細工は油抜きのあと天日で乾かし、象牙色のつやが出たら完了としています。勝山竹細工は11〜12月に伐った竹を風通しのよい日陰で保存します。
竹に虫がつかないようにするには?
伐る時期が大切です。静岡県の資料は、竹は晩冬から春に伐ると虫がつきやすく、チビタケナガシンクイムシには8〜9月と11月、タケトラカミキリには11〜12月中旬が伐る適期としています。

出典

数字は上の資料の原文で確かめています(調べ方)。

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